チック・吃音とトゥレット症候群

トゥレット症候群について

トゥレット症候群は脳機能の障がいです。

 

平均6~8歳、遅くても14歳くらいまでに発症します。

 

単純チック…5~6歳に発症し、増悪・寛解を繰り返しながら、10歳代中頃に軽快の方向をとり、10歳代後半には自然寛解します。大脳基底核のドーパミン神経系の発達障がいが示唆されています。

 ┣運動チック…まばたき・首振り・腕振り・白目をむく・顔をしかめるなど

 ┗音声チック…咳払い・鼻をならす・動物の鳴き声のような声を出す・奇声を発するなど

 

複雑チック…10歳頃より出現し、薬物に対する反応からドーパミン神経受容体の異常が考えられますが、強迫神経症を伴い、長期持続、難治化します。

 ┣運動チック…臭いをかぐ・ジャンプ・たたく・人や物に触るなど

 ┗音声チック…卑猥な言葉や汚い言葉、不謹慎な言葉などを無意識に口にしてしまう汚言症、他の人が言った言葉を繰り返し口に出したりする

 

健常者では真似できないほど激しく首を振ったり、座ったままジャンプする動作などを無意識に繰り返してしまいます。体が勝手に動いてしまうのです。

 

複雑運動チック・複雑音声チックは思春期の頃(だいたい10歳以降)から出るようになり、突然無意識に奇声や「バカ」などの言葉を発してしまい、周囲に誤解されてしまうこともあります。

 

他の障がいを併発する場合も多く、注意欠陥多動性障がいや脅迫性障がいは、特に多い併発症とされています。

そのほか、学習障がい・睡眠障がい・気分障がいなどがみられます。

 

日本では認知度も低く、診断できる医師も少ないのが現状です。

周囲の理解がないために、誤解されて悩んだり、症状を悪化させたりしている患者がたくさんいます。

トゥレット症候群は1000~2000人に1人の割合で発症し、男の子の方が女の子に比べ発症率が高いと考えられています。

 

主な症状にチックがありますが、かつてチックはストレスや不安が原因で起こると考えられていたために、トゥレット症候群の発症を「母親の愛情不足」や「育て方に問題がある」などと誤解されることが多いです。

 

しかし、トゥレット症候群は、脳内神経伝達物質ドーパミンの過剰活動が原因とされていて、育て方や親の愛情は全く関係ありません。

原因は完全には解明されておらず、遺伝性素因が指摘されています。

 

ただ、精神的ストレスで悪化することは事実であり、症状を注意したり、障がいについて伝えるとかえって症状を意識してしまい悪化する危険性が高いと言われています。

 

特に小児の場合はストレス因子の除去、疾患から生じる二次的な劣等感の除去・予防、症状から生じる周囲の偏見や学校でのいじめなどの予防などが重要です。

 

チック・吃音とトゥレット症候群の違い

トゥレット症候群は、音声チックを伴い複数の運動チックが、一 年以上持続する精神神経疾患であるとされています。

 

トゥレット症候群と診断されるには、一定の診断基準があります。 

①身体に症状がでる運動チック(目をパチパチ・顔をしかめるなど) 

②音声チックも併発している(発声・奇声など)

③症状が1年以上続いている 

すべてに当てはまれば、チックよりも重症なトゥレット症候群と考えられます。

 

チックは幼少期に数週間~数ヶ月で自然と症状がなくなる一過性のものが大半を占めます。

1年以上続く慢性的なチックもあります。

しかし、1年以上続くからと言って即、発達障がいを疑うのは早すぎます。

 

慢性的なチックの中でも、特に重症なものがトゥレット症候群と言われます。

 

チックとトゥレット症候群は似ているようですが、重症度が違います。

 

トゥレット症候群の治療

原因は確定していませんが、大脳基底核におけるドーパミン系神経の過活動仮説が提唱されています。

抗ドーパミン作用の強い神経遮断薬などの薬剤が試みられますが、すべての方に有効なものはありません。

 

早期診断、年齢に応じた環境要因の調整、本人の意識、理解が大切とされています。

 

小児期から日中の活動を高め、睡眠覚醒リズムを正し、きちんとした歩行を行わせることも、併発症発現予防に必須と考えられています。

 

トゥレット症候群の症状は、改善したり悪くなったりを繰り返しながらも10歳代後半には改善する場合が多いです。

 

しかし、完全に治癒することはありません。

 

小児はりとチック・吃音

トゥレット症候群の心配があるお子さまは、専門医に相談し専門の支援を受けた方が、後々二次的な障がいへ進展していくことを防止できます。その際は、小児はり、スキンタッチ法は補助的なものと考えて利用していただければと思います。

 

チック・吃音の気になるお子さまに対しては、皮膚に小児はりの心地良い刺激を与えることで、神経系の安定化を図り、ドーパミンのバランスを整えていかれることをおすすめします。

 

チック・吃音の症状は、増悪・寛解を繰り返すことが多いので、お子さまのストレス度合いや症状を見ながら小児はりに通い、おうちでは小児はりを応用したスキンタッチ法を実践していただくのがいいかと思います。

 

1回の小児はりで症状が改善したとしても、また何かの機会に症状が出る。それがチック・吃音です。

 

成長してドーパミンのバランスが整うまで待つしかありませんが、心因的ストレスにより悪化する可能性もあります。

 

チック・吃音は緊張している時よりも、リラックスしている時の方が現われることが多いです。長年小児はりをされている先生の中には、小児はりの治療後にお子さんのチックに気付くとおっしゃいます。

 

かくいう私も、先日、小児はりの治療後に、鼻をすすり始めたお子さんをみて「あら?悪化しちゃったかしら?」とドキッとしたことがありました。

どうやら小児はりを受けてリラックスしたようです…。

 

小児はりの治療後は一時的に症状が悪化したように見られるかもしれませんが、お子さんがリラックスした証拠と思ってください。

 

長期休みなどで、お子さまがリラックスしている時は小児はりをお休みし、運動会やお遊戯会などの練習が始まった時、新学期が始まった時などはこまめに小児はりに通われることをお勧めします。

 

チックや吃音を指摘したり、注意をするとかえって気にしてしまい悪化の原因にもなります。

かと言って、お母さん、お父さんがチックや吃音の症状を見せるお子さんに対して、腫れ物を扱うように神経質になっても…それも考えものです。

お子さんは親御さんの様子をよ~く見て、敏感に色々察知していますからね。

普通にニコニコ接してあげてくださいね。