Q:起立性調節障害って何ですか?

最近、起立性調節障害で学校へ通えないという子が増えています。

朝起きられない、朝礼で校長先生の話が長くて倒れる、急に立ち上がったらクラクラする、食後物凄い眠気に襲われる…なんていうのは、私が子どもの頃でもよくありましたが、吐いて起き上がれない、起き上がると倒れてしまう、というのはかなり危険です。

気を失って倒れた拍子に頭を強打するとさらに大変なことになってしまいます。

 

まずは、現代医学的な話をします。

「起立性調節障害」とは、急激な体の成長に伴い循環器系の自律神経が不安定になる思春期に多い病気で、重症だと登校できず、寝たきりの状態になることもあります。

治療法は十分に定まってはいない病気で、ようやく一般の医療機関でも病態や重症度を把握できる新たな指標作りに乗り出しているとのことです。

 

循環器系の自律神経、つまり血管を縮めたり緩めたりする神経がうまく働かずに脳貧血を起こします。

症状は、

・立ちくらみ

・めまい

・頭痛

・失神

・疲労感

・食欲不振

…など。

血圧や脈拍の調節に関わる神経伝達物質や血管内の水分量の変調など、発症の要因は複数あるとされています。

 

成人すると体と自律神経のバランスが整い症状が出なくなるそうですが、約3割程は成人後も症状が継続するとのデータもあるそうです。

特異な症状がないだけに、確定的な診断をするのが難しい病気です。

血圧や脈拍数、寝た状態から起立した際の血圧の回復度合いを調べる「新起立試験」と呼ばれる検査が一般的です。大まかな分類しかできませんが。

 

起立試験

横になって安静にした状態で血圧を測り、起き上がって何回かにわけて血圧を測ります。

すぐに血圧の下がる人、だんだんと血圧が下がっていく人…とタイプがあるようです。

起立時に低下した血圧の回復に時間がかかるほど重症、または脈拍が起立時に115回/分以上になったり、横になった時より35回/分以上上がった場合は、血圧の変動がなくても循環器系の自律神経がうまく働いていないといえるでしょう。

思春期だけでなく、大人の方でもこの試験をすると起立性調節障害になっていらっしゃる方がいます。

診断するには熟練のお医者さんにやってもらう必要がありますが、ご家庭にある血圧計でも試してみることができます。

ただし、めまい、貧血の症状がある方は、一人でやらないでくださいね。倒れると危険です。

ちなみに、小川も若干回復の遅い人です…。疲れすぎているときは、朝起きると脈拍が早くなっていますしね…用心せねば!

 

 

起立性調節障害で起こりやすい症状

☑立ちくらみやめまいをよく起こす

急に立ち上がったときに目の前が暗くなったり、白くかすんだりする。とくに午前中に強い。

お風呂から上がるときにも起こりやすい。

 

☑立っていると気分が悪くなり、ひどいと失神する

起立した状態で何か作業をする、電車で立っているなどしたときに、気分が悪くなり立っていられなくなる、あるいは倒れそうになる。

ひどい場合には気を失ってしまう。

その場合、前兆(目がちかちかしたり、目の前が見えにくくなったり、気分不良、冷や汗、動悸など)を自覚する場合もあれば、前兆もなくいきなり気を失う場合もある。

 

☑入浴時や嫌なことを見聞きすると気分が悪くなる

 

☑少し動くと動悸(どうき)や息切れがする

胸がドキドキと心臓の拍動が速くなる。とくに午前中に起こりやすく、立ち上がったときや階段を上ったりする際に多くみられる。

 

☑朝なかなか起きられず午前中調子が悪い

起きようと思っても身体を起こすことができない。

目は醒めても身体がだるくて動かない。

なかなか目が醒めず、親が無理矢理起こしたことも覚えていない。←この場合には睡眠障害といえるものもあります。

 

☑顔色が青白い

血液が巡らないために、血の気が引いた顔色になる。

 

☑食欲不振

午前中は食欲がない、とくに朝起きた後は気分が悪くて食べられない。

 

☑腹痛

強い腹痛が繰り返し起こることがある。

過敏性腸症候群が起立性調節障害に合併することがある。

自律神経に支配されている腸が、緊張、運動、分泌などの機能異常によって、便秘、下痢、あるいは両方の交代などの腹部症状を表す。

 

便通異常によって次の3タイプに分類することができる。

不安定型…けいれん性便秘、あるいは便秘と下痢を交互に繰り返す。

下痢型…いわゆる神経性下痢のこと。最も多く、特に朝食後に下痢をすることが多い。

分泌型…便秘に傾くタイプ。

 

☑倦怠感

身体が重たくてだるい。

とくに午前中に強く、午後から程度が軽くなり、夜にはほとんど感じなくなる。

 

☑頭痛

起立性調節障害による頭痛、片頭痛、緊張性頭痛の3つが混在していることがあり、見分けが難しい。

起立性調節障害による頭痛は朝、起き上がってから出現し、午前中に多く、午後から楽になる。

痛みの性質や状態は片頭痛のようにズキズキすることもあるし、頭重感のこともある。

片頭痛は、午前午後など時間に関係なく発症し、脳に心臓があるかのようにズキズキし、目がチカチカして吐き気や嘔吐を伴うことがある。

片頭痛は1~3日持続することもある。

緊張性頭痛は精神緊張、僧帽筋や頸部筋の緊張を伴い、肩こりが強く頭を締め付けられるような痛みが多い。

 

☑乗り物酔い

 

※持病がなく3項目以上当てはまり、生活に支障がある場合は病院を受診しましょう。

 

 

 

起立性調節障害は夕方から夜になると気分がよくなり、夜には目がさえて寝つけなくなります。

体を休める副交感神経は夜に優位になり、朝に低下するという日内リズムがありますが、起立性調節障害で夜に副交感神経優位にならないので眠くならないのです。

そして、退屈なのでついついテレビやゲーム、スマホを見てしまう…。

親御さんからすると、夜更かしの朝寝坊、怠け者、という印象をもってしまうことが多いのです。

 

小学校高学年から中学生の思春期前後の子どもでは、このような朝起きの悪さ、立ちくらみ、頭痛、腹痛、全身倦怠などの身体不調を訴えて小児科を繰り返し受診することがあります。

しかし一般的な診察や血液検査では該当する異常を認めない場合、多くは起立性調節障害と診断されています。

起立性調節障害は、思春期で最も起こりやすい疾患の一つであり、頻度は約5~10%と大変に多いものなのだそうです。

 

 

さて、この現代医学の話をもとに、東洋医学の話をします。

 

起立性調節障害を経絡治療で言うと『脾虚寒証で陽明経に熱が停滞している』という証がたちます。

 

陽明経の陽気が、胃が冷えているために経絡に停滞してしまいます。

陽明経は親指から鼻の脇を流れる大腸の経絡と、目の下から始まり、お腹の前側を下降して、足の甲から指に流れていく胃の経絡です。

ここに熱が停滞する人は、花粉症、鼻炎、まぶたや目の周りの炎症、首の前側のかゆみ、アトピー、のぼせ、夜眠れない、前頭部の頭痛、などが随伴症状としてあるかもしれませんね。

 

胃を温めるようなものを取ると、胃に陽気が集中し、目や頭に停滞していた陽気は少なくなるので眠りやすくなります。

しかし脾虚はそもそも飲食物を体に必要なものに化かす力が弱いので、体を動かすエネルギーとなる陽気を作ることもできず、陽気不足となります。

そのために朝はスッキリとは起きられません。

本来、人間は日の出とともに体表に陽気が巡り始めるために、朝起きて活動できるのです。

脾虚寒証で陽明経に熱が停滞している人は、陽気は一応あるのですが、朝から体を動かす陽気が足りていないために、外界の陽気がピークになるお昼頃にならないと全身に陽気を巡らせられないのです。

しかし、陽気はあることはあるので、昼から夜にかけて停滞している熱で活動するのです。

 

さらに症状が進んで、脾虚寒証になると腎虚寒証を伴うことが多く、下焦が冷えるために下痢をします。

陽明経に熱が停滞しているうちに対策を講じた方がよいです。

 

脾は食べた物を消化吸収しているところなので、この証になるともちろん、体に必要なものも足りなくなってきます。

そのため、随伴症状として現れる症状に血虚=肝虚焦の症状がでてくるのです。

 

めまいは風邪によって起こります。

自律神経の働きは主に「肝の疏泄作用」によるものです。

 

肝は血をたっぷりたくわえて必要に応じて分配しています。

たっぷりたくわえられなくなると、分配できなくなるので「血虚」という状態になります。

血が不足すると、心のポンプ作用は正常に働かなくなるため、不足を回数で補おうとするため動悸がします。

 

血が消耗する原因として、

・寝不足

・ストレス

・目の使い過ぎ

・激しいスポーツ

・成長に多くの血を必要とする

などがあげられます。

 

つまり、小さい頃からゲームやスマホを見て血を消耗し、子どものペースに合わせてもらえない都会の生活に揉まれ、必要以上に塾やお稽古事を増やし、夜遅くまで起きている、なんて生活をしていると、思春期を快適に元気に過ごすための血が不足してしまうのです。

 

脾虚体質でなくても、肝の気を使い過ぎるお子さんは脾虚になりやすいです。

肝と脾は相克関係にあり、肝は脾の働きを抑える作用があります。

上にあげた血を消耗させる原因を続けていると、肝の気を使い過ぎて「肝虚」になるか、肝の気が脾を剋すために「脾虚」となります。

 

思春期に入ると考えることが増えます。勉強も難しくなります。スマホも見ます。

すると脳や目に血流が行きますね。東洋医学では陽気が脳に集まるといいます。

すると十分な血や陽気を蓄えていない体は、脾胃を働かせるための陽気を脳にとられるために、脾胃は冷えてしまいます。

 

胃腸が冷えると…

消化できなかった食べ物が胃腸の中で発酵して悪い熱を発生させる場合もあります。すると、変なものを口に入れてみたり、お菓子などを過食してしまいます。

冷たいものや水分が充分に消化吸収されないために、お腹がチャポチャポします。

いつまでも飲食物が胃に残っているので、吐き気や胸焼けが起こります。

さらに食事が進まない状態になります・・・。

 

 

その子その子の持って生まれた丈夫さって人それぞれ。

その子の体に見合った生活をしていかないと、丈夫な大人にはなりません。

大人になって1番必要なものって、

学力ですか?

ゲームの上手さ?

親の都合通りに生活してくれること?

 

私は「体の丈夫さ」「体力」だと思っています。

 

35歳を過ぎて専門学校へ通った私には、勉強なんて自分がやりたいと思ったらいつでもできる、という考え方があります。

でも、丈夫な体がなかったら、勉強も、お仕事も、遊ぶことも、できないと思っています。

 

起立性調節障害は、大人になれば治ると言われています。

しかし、治らずに苦労しながら生活している人もいます。

 

 

人の丈夫さはそれぞれ。

うちの子、根を詰めて何かに集中しやすい、疳の虫・夜泣きが強かった、食が細い、神経質、ビクビクしやすい、乗り物酔いしやすい、肩や後頸部が硬い、視力が弱い…など、ちょっと気になる様子があるな…と感じたら、しっかり養生しながら育てましょうね。

 

 

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